NSR or SRの定義を知りたい。心電図の正常洞調律、洞調律、サイナスリズムについて
皆さんは先輩に問われることありませんでしたか?私はありました。答えられなかった苦い思い出ですね。
そんなわけで今回はNSR or SR(サイナスリズム)の定義についての記事です。普段何気なくモニター心電図上で普段から見かけるからこそ、改めて考えてみることにしました。
改めて正常洞調律(サイナスリズム)を考えてみる
正常洞調律(サイナスリズム)は略語でNSR or SRと書きます。
ちなみにNSR or SRの略語の違いについては、以前に別記事で触れました。ほぼ同義語です。
過去記事:NSRとSRの違いは何ですか?心電図の正常洞調律、洞調律、サイナスリズムについて
今回は正常洞調律(サイナスリズム)の定義についてです。
モニター心電図で正常洞調律(サイナスリズム)の波形はすぐ答えられると思います。それ程に良く見かける波形ですが、意外と定義と言われると答えにくい。それなら調べてみようと考えた記事です。
正常洞調律(サイナスリズム)の定義は医学書にはどう書かれているか
今回正常洞調律(サイナスリズム)の定義について参照にした医学書は下記です。
ケース①病気がみえるvol.2循環器
次の①-③全てを満たすときを洞調律という。
①P波の次にQRSが続く
②QRS波にP波が先行する
③Ⅰ、Ⅱ(Ⅲ)誘導でP波が陽性である
出典:2017年 株式会社メディックメディア 病気がみえるvol.2循環器 P33より引用
ケース②新・病態生理できった内科学<1> 循環器疾患
正常では右房の上方から洞房結節が興奮を発生するので、Ⅱ、Ⅲ、aVFの下方向の誘導で上に凸のP波が形成されます。これが「洞調律(sinus rhythm)」です。
出典:2009年 医学教育出版 できちゃった編集委員会,村川裕二 P63より引用
ケース①と②を参考にして、臨床で正常洞調律(サイナスリズム)を読みとくポイントを考える
正常洞調律(サイナスリズム)の定義について問われた場合は上記のケース①or②に準じて説明すれば職場の先輩も納得することでしょう。他にも様々な心電図の医学書で触れられているので、自身の信じる定義を覚えておくと便利です。
あとは臨床で正常洞調律を読み解くポイントを考えていきます。今回は上記ケース①,②の定義を参考にしています。
臨床で正常洞調律(サイナスリズム)を確認する場合
①Ⅱ誘導でP波が上向き
②P-P(R-R)間隔が整、P-QRSが繋がっている
正常洞調律(サイナスリズム)の定義と心拍数(HR)
正常洞調律(サイナスリズム)の定義がわかったところで、今度は心拍数(HR)を見てみます。
心拍数(HR)には正常の範囲が決まっております。ただ文献によりけりなところもあるので、病棟ルールに従ってください。
【正常洞調律(サイナスリズム)確認後、心拍数(HR)で分類】
①正常洞調律(normal sinus rhythm)
HR50-100
②洞頻脈(sinus tachycardia)
HR100以上
③洞徐脈(sinus bradycardia)
HR50以下
④洞不整脈(sinus arrhythmia)
P-P間隔変動が160ms(0.16sec)以上(*呼吸性変動)
今回は正常洞調律をHR50-100(細かく考えると正確にはHR51~99)と記載しておりますが、医学書によっては洞性徐脈をHR60以下と考えて、正常洞調律をHR60-100と記載している場合もあります。
この辺の統一性が曖昧ではありますが、どの文献を正しいとするのか、そして自身の勤める病棟ルールに合わせて記録をすることが大事です。
臨床で正常洞調律(サイナスリズム)を確認する為に、とにかくP波を探しましょう
今まで正常洞調律(サイナスリズム)の定義についての説明をしてきましたが、臨床でのモニター心電図波形から確認するうえで一番大事な所はP波の有無です。
P波さえ見つかれば、あとはQRSと繋がっているかの確認です。それだけで正常洞調律(サイナスリズム)に気付けるはずです。
検索でこの記事に辿り着い方へ。この記事が心電図の理解の助けに少しでもなれば幸いです。以上。まる(@maru02ns)でした。
今回の記事での心電図関連本です。おすすめですよ