右室起源?左室起源?PVCの発生起源について。心電図用語について考える
下記は前回記事です。上方軸と下方軸について考えてみました。
今回は出現するPVCが右室起源なのか左室起源なのかを考える記事です。
普段臨床で働きながらこの知識が必要かと言いますと・・・
そんなわけで中々考えることが少ないことでもありますが、知っておくと少し不整脈が詳しくなった気がするシリーズです。
右室起源?左室起源?のPVC(心室期外収縮)の発生起源を知る
PVCの発生起源の説明は合わせ技で説明されることが多いです。
流出路起源の心室期外収縮はどういうものですか | 診療のヒント100 | 循環器最新情報 | 公益財団法人 日本心臓財団
この記事において説明されているのは、下方軸の右室流出路起源特発性心室頻拍。
下方軸と右室流出路の合わせ技です。合わせ技だからこそややこしくなるのです。笑
右室?左室?発生起源を考えるには12誘導心電図のV1誘導を見ます
まず以前に説明した上方軸と下方軸についてのおさらいです。
下壁誘導(Ⅱ、Ⅲ、aVF)で確認します
下壁誘導のPVCが下向きQRSなら上方軸(心尖部付近が起源)
下壁誘導のPVCが上向きQRSなら下方軸(流出路付近が起源)
*成書によれば、上向き(陽性)、下向き(陰性)と書かれていることもあります
これを頭に入れつつ、次に右室か左室かについて説明していきます。PVCの形が重要です。
右室起源のPVC
ポイントは12誘導心電図のV1誘導です
V1誘導でPVCが左脚ブロック波形であれば右室起源
もしPVCの右室起源なのかを確認する場合は12誘導心電図が必須です。モニター心電図でV1を再現する荒業もありますが、現実的ではないようの思います。
モニター誘導V1誘導を再現する荒業。名前はMCL1誘導。
気になる方は下記を参照してみてください
左室起源のPVC
ポイントは12誘導心電図のV1誘導です
V1誘導でPVCが右脚ブロック波形であれば左室起源
上記の右室起源を調べる場合と同様です。右室・左室起源を考える為にはとにかく12誘導心電図でのチェックが必要です。
右室・左室起源に上方軸と下方軸を掛け合わす
ここまで説明したので、もう少し踏み込んで説明していきます。
PVCの発生起源による分類を掛け合わせて使用していこうと思います。この辺からややこしくなります。笑
今までのまとめ
上方軸、下方軸は下壁誘導(Ⅱ、Ⅲ、aVF)で確認
右室・左室起源の確認はV1誘導で確認
そんなわけでⅡ誘導(下壁代表として)+V1誘導で組み合わせの確認をしていきます。
①上方軸(心尖部付近)の右室起源
上方軸(心尖部付近)=Ⅱ誘導で下向きのPVC
右室起源=V1誘導でPVCが左脚ブロックの形
②上方軸(心尖部付近)の左室起源
上方軸(心尖部付近)=Ⅱ誘導で下向きのPVC
左室起源=V1誘導でPVCが右脚ブロックの形
③下方軸(流出路付近)の右室起源
下方軸(流出路付近)=Ⅱ誘導で上向きのPVC
右室起源=V1誘導でPVCが左脚ブロックの形
④下方軸(流出路付近)の左室起源
下方軸(流出路付近)=Ⅱ誘導で上向きのPVC
左室起源=V1誘導でPVCが右脚ブロックの形
PVCの発生起源は奥深い知識ですが・・・看護師が臨床で使用する?
少しPVCについて詳しくなった気がする知識ですが、私は臨床で発生起源を考えてことはありません。笑
しかし右室・左室起源まで考えると12誘導心電図で見なければなりません。ましてや撮影時にPVCの出現を待つのです。
PVCが頻発しているなら12誘導心電図で確認出来ますが、おおよそ発生起源を確認するために12誘導心電図を撮影する看護師は・・・いないはずです。
発生起源を考えることは主にカテーテルアブレーションでしょうか。そうなると医師の範疇です。
そんなわけで臨床で使用することは少ないですが、看護師が知っておくと面白い知識だと思い今回記事にしてみました。
上方軸?下方軸?PVCの発生起源について。心電図用語について考える
以上。まる(@maru02ns)でした。