心電図用語の解説
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絶対不応期?相対不応期?心電図用語【不応期】をわかりやすく解説

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絶対不応期?相対不応期?心電図用語【不応期】をわかりやすく解説

皆さんはモニター心電図波形を読むときに【不応期】を意識していますか?

あまり聞き慣れない【不応期】と言う言葉。ざっくりと意味合いを知っておくことで、モニター心電図上で判読出来る不整脈の幅が広がります。

理屈を難しく考えずに、看護師が臨床で活かせる範囲で【不応期】の用語説明と臨床での活かし方を説明していきます。

 

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絶対不応期?相対不応期?心電図用語【不応期】をわかりやすく解説

 

まずは【不応期】とは何?と言う素朴な疑問をインターネットの力と医学書を頼りに調べていきます。

 

インターネットで【不応期】の言葉を調べる

 

心電図界隈でお世話になった方は多いはず。ハート先生の解説です。

心筋には、脱分極を生じている間は、そこに新たな刺激を加えても反応を示さない特性がある。この期間を不応期という。

引用元:ハート先生の心電図教室:電気的活動

 

医学書における【不応期】の説明です

 

心臓がポンプ機能を保つためには、収縮だけでなく拡張期に十分な量の血液を蓄えることが重要です。そのためには、筋肉が刺激を受けてもすぐには収縮が起こらない一定の時間”不応期”が必要です。

引用元:新・病態生理できった内科学〈1〉循環器疾患 P13

 

心臓は、1拍の刺激が伝わって心室を収縮させた後に、次の刺激が来てもこれに反応できない一定の休み時間があります。これを不応期といいます。つまり、心臓は1拍収縮すると、不応期の間はどんなに刺激されても次の収縮ができないのです。

引用元:これならわかる!心電図の読み方~モニターから12誘導まで~ P134

 

ざっくりとした【不応期】の言葉の使い方を考えます

心電図用語【不応期】の意味

上記の用語説明を組み合わせて、極力簡単に【不応期】について説明してみようと思います。

心電図用語【不応期】の意味

①心筋が1回収縮後、次の刺激が来ても反応出来ない時間のこと

②ただし、時間の経過によって強い刺激に反応してしまう場合もある

基本的な言葉の使い方は①です。

②の文章を付け加える理由は、後述の【絶対不応期】【相対不応期】の意味合いの補足に必要です。

 

そして【不応期】が主に語られるのは心室の不応期。QRS-Tの間(心室側)です。割と大事なポイントです。

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ここまで理解したところで、更なる謎が待ち構えている【不応期】なのです。ややこしいですが、ついてきてください

 

【不応期】は絶対不応期と相対不応期の組み合わせ

絶対不応期と相対不応期の位置

上記の図示を改めて見てみると、不思議な言葉が書いてあることに気付くはずです。

せっかく【不応期】を理解したところに、新しい単語【絶対不応期】と【相対不応期】が出てきました。悲しくなります。

そんなわけで先程のざっくりした不応期の定義を再度確認します

心電図用語【不応期】の意味

①心筋が1回収縮後、次の刺激が来ても反応出来ない時間のこと

②ただし、時間の経過によって強い刺激に反応してしまう場合もある

先程書きましたが【絶対不応期】と【相対不応期】を分けるのは、意味合いに含みを持たせていた②の部分です。

この②の文章から少しずつ解説していきます。

 

時間経過によって

 

まず②で書いた時間の経過とは、【不応期】の時間経過のことです。

まず最初は絶対不応期。その後に相対不応期に切り替わります。

時間経過:絶対不応期→相対不応期

 

強い刺激に反応してしまう場合もある

 

②で書いた強い刺激に反応してしまう場合についてです。これを先程の時間経過と掛け合わせます。時間経過の最初(絶対不応期)と、その後(相対不応期)に分けて考えます。

(絶対不応期)心筋の収縮直後の不応期はいかなる刺激にも反応しません

(相対不応期)時間の経過で強い刺激にのみ反応してしまうようになります

 

ここで【絶対不応期】と【相対不応期】の言葉の使い方を改めて整理します

不応期=絶対不応期+相対不応期

【不応期】=【絶対不応期】+【相対不応期】

絶対不応期と相対不応期を足して不応期と呼ばれます。この絶対と相対の違いについては、強い刺激に反応するかしないかで分けます。

心電図用語【絶対不応期】の意味

①心筋が1回収縮後、次の刺激が来ても反応出来ない時間のこと

②どのような強弱の刺激であっても絶対に反応しない

心電図用語【相対不応期】の意味

①心筋が1回収縮後、次の刺激が来ても反応出来ない時間のこと

②ただし、弱い刺激には反応しないけど強い刺激には反応してしまう

 

本来の不応期は次の刺激が来ても反応しないのです。ただし時間が経つにつれて、強い刺激には反応してしまうことがあります。

上記がわかりにくい方もいるかと思いますので、例えば「相対不応期は条件付きで反応する。その条件が強い刺激があったとき」と言ったニュアンスの方が伝わるでしょうか。

いずれにしても不応期の説明は数ある心電図医学書にも色々な文章で書かれております。ぜひ一度ご自身の持つ医学書でチェックしてみてください。

 

不応期の謎に迫る質問を考えてみました

 

この記事を読むことで、少しだけ不応期に詳しくなれることを目指しています。思いつきそうな疑問を考えてみました。

 

不応期が必要な理由は?

 

心臓のポンプ機能を保つため。収縮だけでなく拡張期に十分な量の血液を蓄える必要があるためです。

 

【不応期】は心筋が1回収縮後・・(以下省略)と説明にあるけど、その心筋ってどこのこと?

 

心房筋。心室筋。左脚。右脚。房室結節です。

 

心筋は心臓を動かす筋肉のことです。今回の【不応期】の説明では、便宜上心室筋(心室)を主軸に話を進めています。

心室筋以外にも実は、心房筋、左脚、右脚、房室結節にも【不応期】は関わります。この辺を詳しく考えると【不応期】に行き詰まる可能性が高いです。

なので【不応期】で語られる多くは心室筋の話と覚えておくと理解がしやすいです。

ちなみに今回は深く書きませんが、心筋の【不応期】の長さの違いが、不整脈鑑別に役立ちます。今回はサラッと紹介だけします。

心筋不応期の長さの違い

心房筋<心室筋<左脚<右脚<房室結節

 

絶対不応期の間に刺激が来たらどうなるの?

心電図の読み方 ブロックされた上室期外収縮

引用元:これならわかる!心電図の読み方~モニターから12誘導まで~ P134

 

その答えを表すのにわかりやすい不整脈があります。非伝導性心房期外収縮です。

 

絶対不応期は「どのような刺激にも反応しない」時期です。この言葉の読み取り方を少し変えてみます。

絶対不応期の間では(どのような刺激が来ても)反応しない

こう読み解くと理解出来る不整脈が出てきます。

代表例は非伝導性心房期外収縮です。英語の読み方としては、blocked PAC、non-conducted PAC、PAC withblockと様々です。

心室の絶対不応期の間に、心房の刺激(心房期外収縮)があった場合。心室は絶対不応期なので反応しません。

モニター心電図上の変化で見ると、P波はあるけど、その後にQRSが続きません。P波のあとにQRSが続かない理由は心室が絶対不応期の間だからです。

 

相対不応期で強い刺激に反応したらどうなるの?

心電図の読み方 R on T型心電図

引用元:これならわかる!心電図の読み方~モニターから12誘導まで~ P131

 

強い刺激に反応すると、心室頻拍や心室細動を引き起こします。

 

心室の不応期についての話になりますが、強い刺激に反応してしまう場所は主にT波の頂上付近と考えられています。T波の頂上付近は相対不応期のゾーンです。

このT波の頂上付近が電気的に不安定な場所と呼ばれており、本来は反応しないはずの強い刺激に反応してしまう可能性があります。

もしそのT波の頂上付近に強い刺激を感知した際には心室頻拍や心室細動を起こします。

なんか聞いたことある説明と思った方は心電図が好きな方です。そうです、RonTです。

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致死的な不整脈を誘発するメカニズムの陰に【不応期】ありです

 

看護師としてモニター心電図で活かす【不応期】

【絶対不応期】と【相対不応期】の意味

 

【不応期】【絶対不応期】【相対不応期】と言葉の意味を知ったところで、あとは看護師として臨床でどう活かしていくが最も大事なところ。

心室側の不応期を頭に入れてモニター心電図を読むと、QRS-T間のチェックが重要になります。

 

心房期外収縮が多い患者様のモニターで、1拍抜けているように見える?

 

例えば心房期外収縮(PAC)の多い患者様であれば、そのP波の位置に着目。

そのP波の位置は心室側の不応期に現れていませんか?もしかしたらP波の刺激が伝導していないこともあります(非伝導性心房期外収縮)

この不整脈が出現すると1拍脈が抜けたように見えます。もしこの不応期の概念を知っていると、臨床でどうして徐脈なのかを考える際の判断材料になるはずです。

 

心室期外収縮が多い患者様のモニターは、その位置に注目

 

他にも心室期外収縮(PVC)の多い患者様であれば、PVCの位置に着目。

PVCの位置がT波の頂点付近に現れていませんか?一番電気的に不安定な場所にPVCの刺激を伴った場合、心室頻拍や心房細動を引き起こす可能性が考えられるはず。

不応期を知っていると、臨床でPVCを見たとき、もしかして心室頻拍や心室細動が起こりうる可能性があることを考えることが出来ます。

 

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そんなわけでモニター心電図でも心室の不応期の概念を知っているだけで、自分の心電図アセスメントの幅が広がるのでオススメです

 

しかし【不応期】の世界はまだまだ奥深い・・・

心室の不応期の確認は不整脈の判読に役立ちます

実は今回説明したところ以上に、もっともっと奥深いのが【不応期】なのです(私も理解出来ない世界)今回は少しだけ紹介させて頂いた次第です。

本来なら【不応期】の説明では活動電位、脱分極と言った言葉を使用するものでもあります。あえて使用しないのは、なるべくわかりやすい説明をしたかったからです。

もちろん心電図を解剖学を含めた理屈で考える方には、活動電位・脱分極と言った言葉を調べながら理解するのが一番良いと思いますが・・・・

ざっくり心電図を読みたい方には不要なのでは?これが私の結論です(心電図愛に溢れる方に怒られそう。ごめんなさい)

 

なにより看護師として活かすなら【不応期】の意味も勿論ですが、【心室の不応期】の位置を知っていることが大事です。

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ぜひモニター心電図上でのQRS-Tの間。その心室の不応期に刺激があるかないか。そのチェックが出来れば、看護師として臨床で活かせるはずですよ

【不応期】について少しでも知るきっかけになったと思う人が増えると嬉しいです。以上。まる(@maru02ns)でした。

今回の引用・参考医学書です。とてもわかりやすくオススメです

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